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概要

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新任先生からごあいさつ共通教育機構人間科学教育研究センター特任講師松まつ村むら一かず徳のり先生「ことばの教育とは何か」を探究しています 2020年9月より、人間科学教育研究センターに着任しました。現在、「日本語上達法1」、「日本語上達法2」、「日本語活用法」、「総合ゼミナール」という科目を担当しています。主に、レポートなどの文章の書き方や言葉づかいの知識といった、文章の書き方を教えています。 今、「教える」という言葉を使いましたが、この「教える」というのが私自身のテーマでもあります。私は留学生などの外国人に日本語を教える仕事を長くやってきましたので、日本語教育学が専門だと思われがちです。実際、大学院では日本語教育学を学びましたのでそう言えなくもないのですが、自分の本当の専門は教育哲学だろうと思っています。ですから、ことばを教えるというのはどういうことか、ことばの教育とは何か、ということをずっと探究しています。 「教育」という言葉には、3つの面があると考えています。「外側から形作る」、次に「内側から引き出す」、そして「支える」という3つの面です。人間の成長のためにはいずれも欠かせません。教師が叩き込むだけの教育では、人間の自然かつ健全な成長にはつながりませんし、かといって教師からの指導がなければ、これもまた学生にとって適切な成長の環境とは言えないでしょう。外からの指導と、学生の内にある世界を引っ張り出すこと、そして学生を支えること、これらがそろって教育は学生の成長の糧となると私は考えています。 では、ことばの教育においては、教育はどうあるべきと言えるでしょうか。文法や書き言葉の知識、文章構成の仕方、書くときの基本的な技術、という点は外側から指導されなければ知り得ないことです。ですが、ある問題に対して自分の考えを書くという作文の場合、その問題に対してどう考えるのか、これは学生の内側にしか答えはありません。しかも、これは学生本人もなかなか自覚しにくい場合があります。それをどのように引き出すか、授業の工夫が大事になってきます。そして、せっかく学生が力を尽くして書いたことも、読む側に受け止めてもらえなければ、学生は安心して表現することができなくなります。つまり、学生が自信をもって、安心して表現ができるよう支えることが、ことばの教育の場合、極めて大事なことと考えています。 本学に来て約1年ですが、学生の作文を見ていると、非常に面白い世界を持った学生が多いと感じています。ユニークで、深くて、筋の通った、貴重な内側を持った学生が多くいます。多少、書き慣れていないという面は誰にでもありますが、彼らの持つ世界が引き出され、適切に表現する術を身につけていけば、素晴らしい書き手に育っていくだろうと期待しています。そのために、私は学生をひたすら支え、引き出し、指導していきたいと考えています。プロフィール2007年  広島大学大学院教育学研究科日本語教育学専修(博士課程前期)修了2010年  広島大学大学院教育学研究科日本語教育学専修(博士課程後期)単位取得退学2010 年~ 広島大学国際センター非常勤講師などを歴任2016年  広島修道大学学習支援センター学習アドバイザー2020年  大阪電気通信大学共通教育機構人間科学教育研究センター 特任講師2021. Autumn 23