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概要

tayori46

2021. Spring 27人組女子から「ウチの先生は優しくて面倒見が良い先生だからおいでよ!」とのお誘いが。経営学史なんて学問に付いていけるのか心配に思うも、聞けば卒論のテーマは自由。直感でご縁を感じ、即日面談して頂いた。斯くして一番の人気ゼミに運良く入れて頂けた訳だが、この選択は正しかった。先生は評判通りのお方で、注意はして下さるが決して怒らない。諭して「嘆き」で私達の心に訴え掛けて下さる。温厚なお人柄で、授業も合宿も和やかそのもの。夏には先生のお宅にゼミ生が集まり、送り火鑑賞。卒業後は縦の結束も加わり、月例会に10年毎の記念パーティー。後に歴代女子のみで結集する会も立ち上げて下さり、元々知らない者同士が回を重ねて20年。何方も温かく心地好いその集まりに、先生は毎回講義のレジュメと全員分のお土産を持っていらして下さった。時が流れ、先生のご参加が難しくなっても、会場にメッセージと毎年違ったお店のお土産を届け続けて下さる。奥ゆかしく「粗菓」と書かれたその中身は、先生の拘りと愛情が詰まっていた。息子の研究室の先輩方が纏められた冊子を見せて貰った。文系の私には難しい内容だが、研究室生が何に取り組み、どの様な学生生活を過ごしたのかを垣間見ることが出来た。一読後「こんな風に貴重な資料を残して下さる先生って良い先生やね!」と伝えた。学生時代に、私達も先生のご指示で資料を残していたからだ。それまでにも息子には、私達の先生とゼミ生との深い繋がりを例に、人にも物事にも誠実に向き合い思い遣りを持って接すること、ご縁に感謝しそこから得た学びを大切にして欲しいこと、そして、学びは学生時代だけではなく一生勉強なのだということを機会ある毎に伝えて来た。こんな素晴らしい師に、私が卒業する年、とんでもない事件が起きてしまった。一学年上の先輩だった男子学生、大手企業から内定を得ていたが、卒論提出を失念し留年。私達が4回生になった時、その先輩がクラスに加わる筈であった。だが、留年生が独り混じって過ごすのは辛いだろうと気遣われた先生は「今度は遅れずに卒論だけ学部事務室に提出してくれればいいから、授業には出て来なくていいよ」と仰ったので、私達は先輩と授業を受けることは一度も無かった。そして年度末に事件は起きた。信じられないことに、その先輩は再び同じミスを犯した。当然、事務室は〆切後に卒論を受け付ける訳も無く、内定を保留してくれていた企業も流石に取り消しを言い渡した。そしてもっと信じられないことに、ゼミに来なくて良いと言った先生が悪いからこんなことになったのだと逆恨みした先輩のご両親が、大学に乗り込んで来て騒ぎを起こした。そして先生は、大学を追われる形となった。代返が当たり前に利いていた時代ならではの先生の計らいも、温情も、このだらしない先輩には何一つ伝わっていなかった。然し先生は、一切恨み言など口にはされなかった。そんな先生だからこそ、大勢のゼミ生は先生を慕い、敬い、付いて行きたいと願ったのだろう。あれから何十年も経つが、ゼミ生の結束は変わらない。先生を囲むパーティーには何百人もが集まり、企画にも多くの教え子が懸命に取り組む。私が入ろうか迷っていたマーケティングのゼミ生に最近偶然会ったのだが、卒業後は何の集いも無いとのこと。自分が如何に幸運だったのかが良く分かった。あの時の判断が、その後の人生を豊かなものにしてくれたのだ。心から信頼出来る師との出逢い。ドラフト会議を点けていたら「山下舜平大」とのアナウンスが流れ、思わず「えっ?シュンペーター?」携帯を手にしてググると、名前の由来はまさかの正解!シュンペーター研究にも取り組まれていた先生のお顔が脳裏に浮かんだ。今日のニュースをご覧になってたら、先生、きっと喜んではるやろなあ。そう思ったら、画面が滲んで見えなくなった。締めくくる大学院 卒業生 母是々非々の毎日、個人の生命に係る状況やあらゆる情報、脅威の時間が緩和し、安心、安全を基準に少しずつ変化を受け入れていました。昨年から生活の一部に他を鑑みるなど、【考えて行動をする】が加わりました。在校中に思わぬ時間を過ごすこととなった息子は今日は何人が感染したと、情報に敏感になり、慣れないマスク生活も素直に受け入れていました。私が買物から帰って来ると、最初の頃は玄関で買い物袋を奪い取り!「お母さんはすぐお風呂に入って」っと、優しいのか?多少の疑問を持ちながら私も素直に受け入れていました。今ではかなり落ち着き手洗い、消毒のルーティンを行っております。学校の授業もオンライン授業となりました。先生方は準備や時間割など急な変更に対応策を講じて下さいました。就職活動や面接もオンラインとなりました。息子は「何時から授業」とか「何時から面接」と、私に静かにして!っという意味の、警告メッセージを発信していました。面接の時はリクルートスーツになぜか靴下まで着用して受けていました。学校に通学することができ元に戻りました。卒業までの学生生活は今までの当たり前のことを一旦、今の生活と照らし合わせて行動に責任を持ってくれたらいいのではないか、などといったところであります。