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2016年度 新任先生ごあいさつ30 後援会たより No.37「大学は高校と社会の間にあるユニークなフィールド」- 先生は、2001年(平成13年)に新設された医療福祉工学科の第1期生なんですね。鎌田 はい、そうなんです。先輩がいない新しい学科でした。必死で過ごしたというのが、今も残っている印象です。高校の頃は、医療職というか、白衣に漠然と憧れのようなものを持っていたんですが、数学の先生からこの学科のことを聞いて決めました。- 学生生活はどうでしたか?鎌田 学んでいくうちに、こんな世界があるんだと、ビジョンが見えてきたような気がします。4年生の夏休みに臨床実習を病院で体験した時は、衝撃を受けました。臨床工学技士がいろんな医療機器を当たり前に使っていて、医師や看護師との間で専門語が飛び交う。教科書に書いてあること、勉強したこととはこんなに違うんだ……と。命に関わっているという緊迫感ですね。単にスイッチを押すんじゃなくて、自分のしたことが患者さんの命に直結する機器を操作するという責任感を改めて意識しました。- それで臨床工学技士の資格を取って、病院に就職されたんですね。鎌田 就職活動は、先輩のアドバイスはうけられませんから、先生や職員の方々にお世話になりました。必死でしたね。 病院それぞれに特色がありますから、結局3つの病院に通算して11年間勤務しました。最初は何でも学びたかったので大きな総合病院に入り、臨床工学技士として人工心肺、人工透析、人工呼吸器など幅広く勉強しました。2 つ目の病院は在宅医療に力を入れていて透析がメーンでした。3 つ目の病院では呼吸サポートチームというチーム医療の立ち上げに関わらせてもらいました。プロフィール2005 年 大阪電気通信大学医療福祉工学部医療福祉工学科卒業医療法人医真会八尾総合病院2008 年 医療法人マックシール巽病院2009 年 大阪府済生会吹田病院2016 年 大阪電気通信大学医療福祉工学部医療福祉工学科講師新任先生インタビュー医療福祉工学部医療福祉工学科講師鎌かま田だ亜あ紀き先生- 今年、講師として赴任される前に、医療福祉工学科の実習補助員を3年間、客員研究員を2年間されていますね。鎌田 「人工呼吸器の実習をしませんか」とお誘いを受け、病院づとめをしながら授業をさせていただきました。- 講師になって、かつて学生として勉強された教室で逆の立場になったわけですが?鎌田 無茶苦茶大変でした(笑)。でも、学生の立場もわかりますし、先生もほとんど同じですから……。 1学期の担当講座は、3年生の「生体機能代行装置学」、4年生を対象に人工呼吸器を受け持ちました。秋からは3年生の実習を、そして来年には4年生の卒研を受け持つことになります。ちなみに、私の研究室は「医療技術応用研究室」と名付けています。- 先生ご自身が取り組んでおられる研究について鎌田 二つありまして、一つは「人工呼吸器の治療中の誤作動の解明」です。人工呼吸器にも、いろんな機械があり、回路もいろいろです。この特性を解析して誤作動を究明します。実際に病院で働いていた時に、困ったことを体験したことが背景にあります。 二つ目は、「深呼吸に関する研究」です。よく深呼吸するとリラックスするといわれますが、深呼吸の定義は決まっていないんです。深呼吸すると、どうなるのか……リラックスしているのか、していないのかを定量的に測定できないかといった研究を進めようと思っています。- 最後に、先生から一言。鎌田 私自身、卒業してまだ10年と少しですから、年齢的に学生たちに近い位置にいるのかなと思っています。いまが逆にチャンスかもしれません。学生の気持ちに寄り添える存在かなと……と。 大学は高校と社会の間にある存在で、それはユニークな環境であるべきだと思います。彼らが成長していく過程の中で、いろんな経験をするところだし、失敗もする、すごくいいフィールドです。彼らが一生懸命何かに向き合えたり、失敗しても大丈夫なんだという環境づくりを心がけたいなと考えています。